~更新時の家賃はどう決まるのか~
■ 問題
「長年借りている部屋や店舗、更新のときに家賃が変わるのはなぜ?」
借主にとっても貸主にとっても、賃貸契約の更新時に提示される新しい家賃は気になるポイントです。
しかし、その金額は単なる“大家さんの希望”や“借主の希望”だけで決まるものではありません。不動産鑑定士は「継続賃料」という考え方を用いて、合理的にその額を算出します。
■ 解決
継続賃料とは、既に賃貸借契約が継続している不動産の賃料を指します。
この額を決める際には、いくつかの専門的な評価手法が用いられます。代表的な方法は以下の通りです。
差額配分法:現在の賃料と適正な新規賃料との差を、貸主・借主の双方で合理的に配分して決める方法。
利回り法:不動産の収益性や投資利回りを基に、妥当な賃料水準を算定する方法。
スライド法:物価や地価の変動を反映させ、現行賃料を修正していく方法。
賃貸事例比較法:類似の継続賃料事例を参考に水準を決定する方法。
これらを総合的に検討し、借主・貸主双方にとって公平で市場実態に即した額を導き出すのです。
■ まとめ
「継続賃料」とは、単なる値上げや値下げの交渉結果ではなく、専門的な評価方法に基づいて算定される合理的な賃料です。
更新時の家賃をめぐって疑問や不安が生じたときは、この評価の仕組みを知っておくことで、交渉や判断に冷静に臨むことができます。