家賃はそのままでいいの?

鑑定評価における「継続賃料」の正しい求め方とは


■問題提起:その家賃、本当に“妥当”ですか?

「10年以上同じ賃料で借りているけど、見直すべきなのか分からない」
「オーナーから“家賃を上げたい”と言われたが、正しい金額かどうか判断できない」

このような声は、居住用・事業用を問わず、賃貸借契約をしている多くの方から聞かれます。

家賃が“高すぎる”のも“安すぎる”のも、双方にとって不健全。
では、どのようにして「今の家賃が適正か」を判断すればいいのでしょうか?
答えは、「継続賃料の鑑定評価」にあります。


■そもそも「継続賃料」とは何か?

「継続賃料」とは、すでに成立している賃貸借契約が継続する場合における、適正な賃料水準を指します。

つまり、現在の契約をベースに、今後も妥当な水準で契約を続ける場合の金額です。

ポイントは、「新たに借りる場合(新規賃料)」とは異なり、
過去の契約内容や経緯、双方の合意履歴、賃貸市場の変動などを総合的に考慮して評価される点です。


■解決策:継続賃料をどう求めるのか?

不動産鑑定士が行う「継続賃料の鑑定評価」は、大きく3つのアプローチで構成されます。

① 賃貸事例比較法

→ 近隣・類似物件の賃料事例をもとに比較分析
→ 市場動向とのズレを確認できる

② 収益分析法

→ 対象不動産が生み出す収益力を分析(例えばテナント収益など)
→ 収益性の観点から合理的な賃料水準を算出

③ 差額配分法・スライド法

→ 現在の賃料を起点とし、改定理由(経済変動、建物の老朽化など)に応じて加減調整
→ 長期契約中の見直しに適した手法

これらを総合的に検討し、双方の合意形成に役立つ「公平な金額」を導き出します。


■なぜ鑑定評価が重要なのか?

賃料改定は感情論になりがちです。
「高い」「安い」「前より儲かってるから上げたい」「値下げ交渉しづらい」——
こうした曖昧さを排除し、第三者の専門家が合理的に判断することで、当事者間の信頼関係も保たれます。

特に、企業間の長期契約や大規模商業施設などでは、
「鑑定書に基づいた賃料交渉」はリスク回避と公正性確保の両面で非常に有効です。


■まとめ:家賃も“メンテナンス”が必要です

契約時には妥当だった賃料も、時の流れとともに「見直しのタイミング」がやってきます。
継続賃料の鑑定評価は、その判断において最も信頼できる“道しるべ”です。

「この家賃、本当に妥当かな?」
そう思ったら、専門家の視点で一度チェックしてみることをおすすめします。