【賃料増額請求とは?】

オーナーが知っておくべき「正しい手続き」と「注意点」を専門家が解説

マンションやビルを所有していると、「今の賃料、周辺相場と比べて安すぎる気がする…」
そんな疑問を持つことはありませんか?

しかし、単に「家賃を上げたい」と思っても、オーナーの一存だけで賃料を変更することはできません。
正しい法律知識と手続きを理解しなければ、トラブルに発展する可能性も。

本記事では、賃料の見直しを検討するオーナー向けに、
“賃料増額請求の仕組み・手続き・注意点” を、専門的な視点から分かりやすく解説します。


■ 問題:周辺相場とズレた「低すぎる賃料」は放置できない

不動産市場は、エリアの発展、物価変動、需要供給のバランスなどによって日々変化しています。

しかし、多くの物件では

  • 契約当時の賃料がそのまま継続

  • 建物の価値が上がっても賃料だけ据え置き

  • 周辺の賃料水準と乖離
    といった状態が長く続いてしまいがちです。

その結果、
「本来得られるはずの収益を逃している」
というケースは少なくありません。


■ 解決策①:法律に基づき「賃料増額請求」ができる

オーナーは、賃貸人として
「地代・家賃が経済事情や近隣相場と大きく乖離した場合」
賃料の増額を請求することが認められています(借地借家法)。

ただし、ここで重要なのは以下の点です。

● ポイント1:正当な理由が必要

単に「利益を増やしたい」だけでは認められません。
根拠としては、

  • 周辺の賃料相場

  • 建物・土地の価格の変動

  • 経済状況の変化

  • 固定資産税や維持管理費の上昇
    など、客観的なデータが必要です。

● ポイント2:書面で通知するのが基本

口頭で伝えるだけでは証拠性に欠け、後々のトラブルに発展しやすいため、
内容証明郵便での通知が一般的です。


■ 解決策②:賃料増額の交渉プロセスを理解する

① 増額請求の通知

オーナーが借主へ書面で通知。
内容には「増額の理由」「希望する新賃料」などを記載します。

② 双方で交渉

借主は受け入れる義務はなく、反論する権利もあります。
ここで重要なのは、オーナー側の根拠資料の質と説得力です。

③ 合意できなければ調停・裁判へ

あくまで最終手段ですが、合意に至らない場合は

  • 不動産鑑定士による鑑定評価書

  • 調停機関への申立て
    といった手続きに進むこともあります。


■ 解決策③:トラブル回避のカギは「専門家の活用」

賃料増額は法律・市場分析・実務が複雑に絡むため、
独断で進めてしまうと借主との関係悪化や手続きミスにつながることがあります。

特に有効なのが、
不動産鑑定士による“賃料の適正評価” です。

鑑定評価書は交渉・調停の場で
「客観的な根拠」として機能し、
オーナーにとって非常に強力な支援材料となります。


■ まとめ:賃料の見直しは“正しい手続き”が成功のポイント

賃料増額請求は、
市場の変化に適応し、物件価値を適切に反映させるための重要な手続きです。

ただし、

  • 法的根拠

  • 客観的データ

  • 適切な通知方法
    が揃って初めて、トラブルなく進めることができます。

賃料が周辺相場より低いと感じたら、
まずは専門家に相談し、適正賃料を把握することがスタートラインです。